「従事」の意味や使い方|例文で語源や類語・言い換え表現を紹介

「従事」という言葉を聞いたことがあるでしょう。少し堅い場面で使われる印象がありますが、どのような意味で、どのような場面で使うのでしょう。今回はこの「従事」の意味とビジネスでの使い方などについて、例文も示して詳しく説明いたします。

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目次

  1. 1「従事」の意味・語源
  2. 2「従事」の使い方
  3. 3「従事」の例文
  4. 4「従事」の類語・言い換え表現
  5. 5「従事」の敬語表現とは?
  6. 6「従事」を使う際の注意点
  7. 7「従事」を使いこなしましょう

「従事」の意味・語源

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まず、「従事」の意味や語源について説明します。

「従事」の意味

「従事」(じゅうじ)を辞書で調べると、次の意味となります。
 

【名詞】(スル)もっぱらその仕事に携わること。「研究に従事する」

(出典:小学館 デジタル大辞泉)
 
【名詞】スル 仕事にたずさわること。「研究に従事する」

(出典:三省堂 大辞林第三版)

「従事する」で「仕事に携わる」という意味になります。

「従事」の語源

「従事する」の「従」という字の意味は次の通りです。このうち、③の意味が「従事」に関係します。
 

意味① したがう。したがえる。つきそう。つきしたがう。「従軍」「追従」
意味② ききいれる。逆らわずにしたがう。「従順」「服従」
意味③ たずさわる。仕事につく。「従業」「従事」
 
意味④ とも。しもべ。「従者」「主従」
意味⑤ ゆったりとする。しずか。
意味⑥ たて。南北。
 
意味⑦ 三親等以上の傍系親族。「従兄弟」「従姉妹」
意味⑧ そえ。官位で「正」の次を示す。「従三位(じゅさんみ)」
意味⑨ ~より。~から。「従前」
 
意味⑩ したがって。それゆえ。

(出典:漢字ペディア)

一方、「事」の意味は次の通りです。このうち、②の意味が「従事」に関係します。
 
意味① できごと。ことがら。「事実」「行事」
意味② しごと。つとめ。おこない。「事業」「家事」
意味③ つかえる。「師事」「事大」

(出典:漢字ペディア)

「従」の③の意味と、「事」の②の意味とを合わせて、「仕事に携わる」という意味になるのです。これが語源です。

なお、「従事」という言葉の歴史を調べると、「詩経」の「小雅・十月之交」に初めて「従事」という語が出てきます。また、漢の時代中国で、別駕従事史・治中従事史という官職があり、これは刺史に仕える属官でした。このように古くから使われてきた言葉です。

「従事」の使い方

では、「従事」の使い方を説明します。

「従事」はどのように使うか


前項で説明したとおり、「従事する」というのは、仕事や研究、物事などに携わるということを意味します。

ところで、「携わる」というのは「ある物事に関係する」という意味です。ビジネスでは「仕事としてある事柄と接点を持つ」あるいは、「仕事としてある物事に関わる」という意味になります。

「従事する」は、自分の仕事を説明する際に、「私は、○○を制作する仕事に従事しています。」とか「○○のマネジメントに従事しています。」というように、仕事の中身・内容を明示した上で、その仕事を行っていることを意味します。

したがって、「私は○○株式会社に従事しています」とは言いません。「私は○○株式会社で東南アジアの営業に従事しています」というように、具体的な仕事内容を言う必要があります。

また、以前行っていた仕事についても使えます。「私は以前、半導体の開発に従事していました」といえば、職歴を説明する意味になります。

もう一つの使い方

「従事しています」というのは、ピンポイントである職業や職務を捉える以外に、やや広い範囲を示して、かつ仕事内容をぼかして言うこともできます。

「以前は教育関係に従事していました」というのは、どのような職業に就いていたことを意味しているのでしょうか。これは、学校の先生だけを意味するのではありません。塾の講師でもよいし、家庭教師を派遣する会社の社員でもよいのです。

「医療関係に従事していたこともあります」というのは、医師や看護師だけを意味するのではありません。診療報酬明細書の点数のチェックをする仕事も、十分医療関係を意味します。

「保険関係に従事していた経験を活かせます」というのは、保険会社の社員だったという意味だけではありません。保険の給付内容を比較するコンサルタントでも、十分保険関係を意味します。

このように、「○○関係に従事しております」という場合は、それを聞いた時に自分が思い浮かべた職業と異なる意味の職業のこともあり得ます。ですから、本当は何の仕事を意味しているのかは、もう一歩踏み込んで質問する必要があります。

逆に、自分が職業を聞かれた時には、ほどよい曖昧さの意味合いで答えることもできますので、便利な言葉です。

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「従事」の例文

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それでは、「従事」の使い方の例文をいくつか示します。

「従事」の例文 【対象別】

【学生向けの使い方】

あなた方は、10年後にどのような仕事に従事することになると思いますか。
 
私は言葉の意味を知るのが好きなので、将来は言葉に関する仕事に従事したいです。
 
私は商業に関することに興味がありますので、流通関係の仕事に従事するのを希望します。

【就活生向けの使い方】
私は、御社に入ることができましたら、海外関係の仕事に従事することを希望しています。
 
私はどちらかというと、デスクワークよりも外に出て人と会うのが得意ですので、営業関係に従事することを希望します。
 
私の大学の先輩が御社で発電関係に従事しており、たびたび話を聞くうちに興味がわき、私も同じ仕事に従事することができたらと思い志望しました。

【転職希望者向けの使い方】
私は、これまで医薬品関係の仕事に従事しておりましたので、御社に入れたら、きっと早期に戦力になれると自負しております。
 
私は現在、雑誌の編集に従事しておりますので、御社が募集している仕事には少なからず自信があります。
 
私はこれまで、営業関係、ものづくり関係、教育関係といろいろな仕事に従事してきました。

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「従事」の例文 【場面別】

【社内打ち合わせ・初回顔合わせでの使い方】

私は総務関係に従事してきましたので、その意味でこの打ち合わせに参加しています。
Aさんは中東の貿易に従事されていたので、このプロジェクトにはうってつけです。

【社外打ち合わせ・初回顔合わせでの使い方】
マーケティング関係に従事していましたので、当案件を受注する意味がよくわかります。
私は現在、シニア社員の採用に従事しています。人手不足を多少とも解消したいです。

【社内新人社員向け研修での使い方】
配属後、色々な意味で大変ですが、やりがいのある仕事に従事することになります。
10年間に3つの業務に従事することになります。その間に自分の適性を見極めます。

【転職案内での使い方】
履歴書の職歴欄の従事内容の書き方は、見本のとおりに書いてください。
どのような仕事に従事するのが一番納得感があるかという考えを大切にしましょう。

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「従事」の類語・言い換え表現

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「従事」の類語や言い換え表現をいくつか示します。

相手のために働く

相手のために働くという意味での「従事」の類語は、次のようなものがあります。
 

尽くす、相手に尽くす、奉仕する、献身する、仕える、侍する、仕官する、出仕する、側に控える、控える、身を尽くす、身を奉じる、奉公する、身を捧げる、身を投げ打つ

「会社のために30年間にわたり、尽くしてまいりました。」
「国家のために尽くしてくださった方々を表彰することになりました。」

「地域医療を支えるという意味で、C診療所のD先生は日夜身を奉じてこられました。」
「道徳教育に仕える身として、昨今の意味のないいじめには、憤りを感じます。」

「Hさんはこれまで40年間というもの、岬の灯台で、荒天の時も身を投げ打って海の安全のために尽くしてこられました。」

物事を行うこと

物事を行うことという意味での「従事」の類語は、次のようなものがあります。
 

推進する、取り組みを進める、試行する、実行する、振るう、発揮する、使う、事に当たる、取り組む、取り組みを行う、取り掛かる、事業を行う、事を進める、事を為す、遂行する、

「これまで宇宙探査期の開発を推進してきました。」
「あなたはこれだけの大事業を遂行してきたのですから、今後予定しているプロジェクトもきっと成功できると信じています。」

「映像関係に取り組むということは、現代を記録するという意味をもっています。」
「あなたが、今回事に当たることになったのは、とても大きな意味をもっています。」

勤務する

勤務するという意味での「従事」の類語は、次のようなものがあります。
 

勤務する、勤める、所属する、在籍する、就業する、働く、仕事をする、労働する、在勤する、在職する、在任する、勤務につく、職務につく、就職する、職に就く

「長年、教育関係に勤務してきました。」
「船の会社に在籍しておりますので、海に親しんできました。」

「今度の会社で最初に職に就いてから5つ目となります。すべて出版関係です。その意味では自分の中で一貫性が保たれていると思います。」

「鉄道関係で働いております。日々、安全の意味を考えています。」

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「従事」の敬語表現とは?

次に、「従事」の敬語表現について説明します。

「従事」の敬語表現

【自分の仕事等について語る場合】
自分のことを言う場合は、へりくだった意味で、謙譲語を使用します。
「従事しています」という丁寧語を謙譲語にすると、「従事いたしております」となります。

「世の中の安全に関する業務に従事いたしております。」
「英語教育の普及のための事業に従事いたしております。」

【目上の人の仕事等について語る場合】
目上の人について言う場合は、うやまう意味で、尊敬語を使用します。尊敬語にすると、「従事される」あるいは「従事していらっしゃいます」となります。

「Bさんは、長年法曹界に従事されていましたので、この問題にアドバイスをいただければありがたいです。」

「Cさんは、大学を退官されたあと、この市の学術研究所の顧問として、市民への古典文学普及に従事していらっしゃいます。」

「従事」を使う際の注意点

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それでは、「従事」を使う際の注意点について説明します。

「従事」を使う際の注意点について

「従事しています」という言葉は、今まで見てきたように、とても便利です。「○○に従事しています」という言い方の「○○」の部分を入れ替えることによって、いろいろな意味で幅広く対応できます。

ところが、一見万能のような「従事しています」ですが、注意すべき点があります。

それは、「従事」の語源の項で説明しましたように、「従事」は仕事に携わると言う意味です。このように語の成り立ちからすでに「仕事」に関して使うという意味が入っているのです。

例えば、「園芸に従事しています」と言えば、仕事として園芸関係の店に勤務しているとか、業務として園芸用の植物を育てて店に卸していることを意味します。

ところが、個人が趣味で自分の庭で植物を育てている場合は、「園芸に従事しています」とは言いません。これは仕事として園芸に携わっていないからです。仕事として携わっていないことに関しては、「従事しています。」とは言えないのです。

つまり、ビジネスで使う上では、「従事しています」を誤って使用する危険性は低いでしょうが、ことプライベートに関することで、趣味などには「従事しています」は使用できないと覚えておきましょう。

「従事」を使いこなしましょう

従事は仕事のことを語るときに、大変便利な意味深い言葉ということは、ご理解いただけたことでしょう。

自己紹介の際、その仕事に関係している限り、「○○に従事しています」と言えるのです。この「○○」の部分には少し大げさな言葉を持ってきたとしても、自分の携わっている仕事に関係がありさえすれば、いちおう筋は通っており、意味のあるフレーズとなります。

例えば、「国際親善の仕事に従事しています」と言って、何か外交の意味かと思えば、実際の仕事は観光地で外国人向けにお土産を売っているということでもよいのです。

また、正社員でなくても、バイトでもパートでも、立派に「従事」を意味します。

それに、過去自分が勤務していた職業についても、わざわざ「○○株式会社に勤務しておりました。」と言わなくても、「出版関係に従事してまいりました」等とその場をおさめることができます。

「従事」を使えば、初対面の人にも自分のキャリアをスムーズに伝えることができます。まさにビジネスの場では便利な言葉ですので、使いこなして仕事をやりやすくしましょう。

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この記事のライター
hs707
古典文学からミステリ、SF、哲学、科学、ノンフィクションまで、様々なジャンルの読書が好きです。趣味は山登りと合気道です。

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